脳卒中心臓病その他
循環器病
死亡・介護原因に…

山形県民の平均寿命は、平成 27 年時点で県全体、男女ともに伸びており、男性 80.52 歳、女性 86.96 歳となっています。また、健康寿命は、平成 28 年時点で男性 72.61 歳、女性 75.06 歳で、平均寿命との差は、男女ともに以前より縮小していますが、未だ男性で7.91 歳、女性で11.9 歳の開きがあります。
心疾患、脳血管疾患は山形県における主な死亡原因であり、令和元年の人口動態統計によると心疾患は死亡原因の第2位、脳血管疾患は第4位で、両者を合わせた循環器病は 24.9%と、がんに次ぐ死亡原因です。
令和元年国民生活基礎調査によると、全国で介護が必要となった主な原因として、脳血管疾患が 16.1%、心疾患が 4.5%であり、両者を合わせた循環器病の割合は 20.6%です。

出典:令和3年度第1回山形県健康長寿推進協議会 及び第3回山形県循環器病対策委員会議事録

介護が必要となった主な原因の20.6%が循環器病!

脳血管疾患と心疾患ががんに次ぐ主な死亡原因に!

高血圧リスクにさようなら!「ヘルシー度チェック!!」食事と運動で、血流の循環をよくして循環器病を予防しよう。

今田 恒夫 教授
監修
山形大学大学院医学系研究科
公衆衛生学・衛生学講座
今田 恒夫 教授
あなたはいくつあてはまる?
リテラシー 高めたもの勝ち タンパク摂取

高血圧を予防するためには、
正しい知識を持つこと、普段から意識することがとても大事です。

右記の自己診断項目をチェックして、
あなたの高血圧リスクを
確認してみましょう。

何個あてはまるかチェック しよう!

7個以上あてはまる方

生活習慣による高血圧と循環器病のリスクが高いです。
過去1年以内に健康診断を受診していなければ早期に受診し、生活習慣の修正が必要です。
長年続いているのであれば、早急に検査と生活習慣の改善をおすすめします。

3~6個以上あてはまる方

高血圧と循環器病のリスクを高めないように、生活習慣の修正などの注意が必要です。
定期的な健康診断などで血圧の値に注意してください。
高血圧は一度なると完治は困難です。予防が最も大切です。

0~2個以上あてはまる方

今のところ高血圧の心配は高くありませんが、
きちんとした生活習慣を維持し、定期的な健康診断で、
変化に対して気を配りましょう。

循環器病予防にくわしい先生に聞いてみた!知っておくと助かるQ&A

山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学・衛生学講座 今田 恒夫 教授
血液がキレイに巡るまいにちへ

いつも健やかでよい体調を保つには、血の巡りをよくすることがとても重要です。
そのためにも、高血圧のことを正しく知り、普段の生活に活かすことが大事です。

質問:そもそも高血圧になると、どうなるの?
返答:高血圧とは、血圧が正常な数値に比べて高く、その状態が続くことです。原因は様々ですが、遺伝や生活習慣、ホルモンの異常などに原因があるとされます。高血圧の状態が続くと脳卒中・虚血性心疾患・腎不全などを引き起こす確率が高まるといわれています。
質問:高血圧は治らないって本当?
返答:食事や生活習慣の改善により治る人もいますが、残念ながら大半の場合は薬による血圧コントロールが必要です。医師から薬を処方された方は、忘れずに飲むようにしてください。
質問:高血圧は遺伝するの?
返答:親が高血圧の場合、子も高血圧になる確率は高く、高血圧は遺伝しやすいと考えられています。

それ良くないです!高血圧になる理由

あなたはいくつあてはまる?

高血圧の原因には遺伝要因と環境要因があります。
遺伝要因とは生まれつきの体質で、両親や兄弟・姉妹に高血圧があれば自分も高血圧に
なりやすい傾向があります。
環境要因とは、食事での塩分のとり過ぎ、肥満・運動不足・ストレス・大量飲酒・喫煙などの生活習慣です。
遺伝要因は自分で変えることは難しいですが、環境要因は自分で変えることができます。
生活習慣を見直すことが高血圧の予防や改善につながるといわれています。

  • 血圧は 塩分減らし リスク減

    薄味の食事に慣れるためには、少しずつ塩分の摂取量を減らしていくことがポイントです。結果的に降圧効果が期待できるだけでなく、素材本来の味を楽しめる食事になります。

  • お食事は 空腹感に 聞いてから 

    食事は時間になったら食べるのではなく、空腹感を感じたときに食べること。そして、空腹感が満たされたら食べるのをやめること。これにより食事量が適度にコントロールされ、ダラダラ食いも防止できます。

  • お酒好き つまみ食べ過ぎ 注意報

    少量のアルコールは血管を広げて血圧を下げますが、過度の飲酒は血圧を上げてしまいます。
    また、酒のつまみには塩分が多く含まれているものがありますので、塩分に注意しましょう。

  • 運動は 薬に勝る 予防法

    肥満解消には特別な運動から始めるよりも、日常生活の中でできるだけこまめに動くことから始めましょう。身体活動量を増やし、カロリー消費につなげましょう。

これなら出来る!高血圧リスクを予防する、2大習慣!

  • 1日に 6グラムの 塩の壁?

    高血圧となった人には
    健康リスクを減らすために
    1日6g以下の減塩の壁が
    やってくる!

    大好きな麺類もたまにしか
    食べられなくなるかもしれない!?

    高血圧になる前に、
    まずは、1日の塩分は
    男性7.5g未満
    女性6.5g未満
    してみよう!

  • おうちでも さくっと出来る 運動法

    循環器病の予防には
    日ごろの運動習慣がとっても効果的!

    いつでもご自宅で、
    さくっと出来る運動ルーティンを
    毎日の中に取り入れてみませんか?

    隙間時間を利用して
    元気な体づくりをはじめよう!

今日からできる減塩メニュー選び

1日に 6グラムの 塩の壁?

高血圧、
動脈硬化予防には、
減塩が重要

血圧が高めの人は1日6g未満を目標に

摂取する塩分を減らすことで、血圧が低下することがわかっています。まずは減塩にとりくむことが重要です。
日本では塩分摂取量の平均は10.1g(令和元年国民健康・栄養調査)となっており、目標量を「1日男性7.5g未満、女性6.5g未満」(日本人の食事摂取基準2020年版)としています。ただし、血圧の検査で基準値を上回っている場合は、「1日6g未満」を目標に減塩しましょう。まずは、血圧の検査結果を確認してみましょう。

今日からはじめよう!減塩食

おいしく減塩、正しく減塩

濃い味付けに慣れている人にとって、減塩を実行することはなかなか難しいものです。最初からきちんとした減塩対策を行うと、食事の楽しみがなくなり、逆にストレスを感じてしまうこともあります。
そこで、おいしさを維持しながら徐々に塩分を減らしていくよう心がけることが大切です。食塩やしょうゆ、みそなど調味料の塩分だけでなく、漬け物や佃煮、練り製品、ハムや干物など加工食品の塩分も含まれます。下表を参考に、こうした食品に含まれる塩分もしっかり意識して、食事をとりましょう。
また、塩分の排出を促す作用があるカリウムを多く含む食品を積極的にとりましょう。カリウムは緑黄色野菜や果物、海草類、豆類やいも類などに多く含まれています。とくに血圧が高めの人は、これらの食品を意識して食べるようにしましょう。

おいしく減塩するコツ

  • 薬味や香辛料を効かせる

    わさびやショウガ、コショウや唐辛子、山椒、カレー粉などの薬味や香辛料を用いると、味にメリハリがつきます。

  • 酸味を効かせる

    レモンやゆず、酢などを利用して酸味を効かせると、塩分控えめでもおいしく食べることができます。

  • 食材本来の味を楽しむ

    旬の食材や新鮮な食材を選ぶことで、うす味でも素材本来の味を楽しめます。

  • 塩分の使い方にメリハリをつける

    しっかり味付けしたものは1品にして、そのほかの料理にはできるだけ塩分を使わないようにします。

  • 汁物は具沢山に

    みそ汁やスープなどは野菜など具を多くすると、汁の量が控えられて減塩になります。

  • 減塩しょうゆ・減塩みそを使う

    塩分の少ない調味料を用いることで、より手軽に減塩できます。

健康の維持には減塩の意識づけがだいじ!

出典:全国健康保険協会「【塩分】 おいしく減塩、正しく減塩」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat450/sb4501/p003/

血圧を上げない生活習慣

おいしく減塩、正しく減塩

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日男性7.5g未満、女性6.5g未満としていますが、実際は平均11.2gとオーバーしています。味付けはできるだけ薄味を心がけましょう。減塩のコツとしては、汁物はだしをしっかり取ると調味料が少なくすむほか、味付けには、香辛料やハーブ、かんきつ類を上手に利用することが挙げられます。

また、味噌汁は1日1杯にし、麺類は汁に塩分を多く含むためできるだけ残しましょう。塩分の多いインスタント食品、加工食品は避けましょう。

■調味料・加工食品の塩分量

食品名 食塩相当量
(塩分)
食塩小さじ〈6g〉 5.9g
こいくちしょうゆ大さじ1〈17g〉 2.5g
みそ(米みそ/淡色辛みそ)大さじ1〈18g〉 2.2g
食パン1枚〈6枚切り・60g〉 0.8g
かまぼこ1切れ〈10g〉 0.3g
食品名 食塩相当量
(塩分)
ロースハム1枚〈15g〉 0.4g
あじの開き1尾〈90g〉 1.9g
昆布佃煮〈10g〉 0.7g
たくあん1切れ〈10g〉 0.3g
梅干し1個〈10g〉 2.2g

出典:「文部科学省の食品成分データベース」から計算 https://fooddb.mext.go.jp/

今日から始めませんか?プラス10分の運動

おうちでも さくっと出来る 運動法

毎日まとまった時間をつくって運動することは難しいかもしれませんが、体を動かす機会は日常生活のあちこちにたくさんあります。
運動不足を解消するために、まずは毎日、今より10分多く体を動かすことを心がけてみましょう。
例えば、10分歩くと約1000歩になります。
無理しない程度に毎日続けましょう。

ちょっとした工夫や心がけで日常生活の活動量を増やそう!

ウォーキングに挑戦してみよう!

日常生活の中で身体活動量を増やすことができたら、もう少しレベルをアップしてみましょう。
健康効果を高める適度な運動としては水泳やジョギングなどの有酸素運動が挙げられますが、手軽に行うことができ、かつ継続しやすい運動が「ウォーキング」です。ウォーキングはいつでもどこでも、自分のペースで安全に行うことができる運動です。これまで運動の習慣がなかった人や運動が苦手な人は、歩くことから始めてみるとよいでしょう。

<ウォーキングを行うときの注意>
服装は動きやすく、発汗性や吸湿性に優れたものを選ぶ

出典:全国健康保険協会「【運動】今日から始めませんか?プラス10分の運動」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat450/sb4501/p001/

すきま時間でできる、かんたん運動

厚生労働省では高血圧予防や改善の目安として「ウォーキング(速歩)・軽いジョギング・水中運動・自転車・その他レクリエーションスポーツなどの有酸素運動を1週間にほぼ毎日30分以上行う」ことを勧めています。連続で30分間運動をしなくても、1回の時間が10分以上の運動であれば複数回に分けて行い、それぞれの運動時間を足して1日合計30分以上としても一定の効果が見込めると言われています。
また、運動をする際には「ややきつい」と感じる程度が適切とされていますが、日常的に運動をしていない人には長続きしにくい傾向があると同時に、負荷がかかる運動は血圧を上昇させるリスクがあります。自分に合った運動時間や負荷の掛け方に注意して継続的に運動することがポイントになります。

すきま時間を有効活用して、
短い時間だけでも
まずは体を動かしてみる!から
チャレンジしませんか?

出典:厚生労働省「健康日本21(身体活動・運動)」 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2f.html

監修

今田 恒夫 教授
山形大学大学院医学系研究科
今田 恒夫
公衆衛生学・衛生学講座 教授